Valuation
鑑定会社の企業価値・売却相場
鑑定会社はいくらで売れるのか。年買法をベースにした考え方と、鑑定会社特有の価値要因を整理しました。簡易シミュレーターで目安レンジを確認できます。
このページの要点
- 小規模な士業事務所のM&Aでは、年買法(純資産+営業利益の1〜3年分)が実務上の目安としてよく使われます
- 鑑定会社は純資産が小さいことが多く、実質は「役員報酬を適正化した後の営業利益×年数」で語られます
- 年数を左右するのは、有資格者数・属人性・承継できる公的評価・依頼目的の分散です
- シミュレーターの数値は相談の入口となる目安であり、鑑定評価額でも売却査定額でもありません
執筆: 株式会社KRE Appraisal 代表取締役・不動産鑑定士 吉田健人
Simulator
譲渡価額の簡易シミュレーター
6つの項目を入力すると、年買法をベースにした目安レンジを表示します。数字は手元の決算書で十分です
直近期の鑑定報酬・コンサル報酬の合計
オーナーの役員報酬を「後任が同じ仕事をした場合の給与」に置き換えた後の利益。売却相場の基礎になります
現預金+敷金等−負債。不動産を保有している場合は時価で
地価公示評価員は個人委嘱のため、会社の価値には含めません
譲渡価額の目安レンジ
1,080万円〜2,150万円
純資産 + 営業利益 × 1.1〜3.3年分(年買法)で算出。 売上高 3,000万円 に対する利益率は 17%。
この数値は相談の入口となる簡易な目安であり、鑑定評価額でも売却査定額でもありません。実際の譲渡価額は買い手のシナジー、承継できる契約、並走条件などで大きく変わります。
鑑定会社の値段は、どう決まるのか
年買法という「共通言語」
中小企業のM&Aで最も広く使われる目安が、年買法(純資産に営業利益の数年分を加える簡便な評価方法)です。「純資産+営業利益×1〜3年分」が典型で、年数は事業の安定性や成長性によって上下します。DCF法(将来キャッシュフローを現在価値に割り引く方法)のような精緻な手法は、鑑定士1〜3名規模の案件ではほとんど使われません。
鑑定会社は「純資産」より「利益の中身」
鑑定会社は設備投資が少なく、純資産は現預金と敷金程度であることが多いため、価格の大半は営業利益の部分で決まります。ここで重要なのが役員報酬の適正化です。オーナー鑑定士の報酬を「後任が同じ仕事をした場合の給与」に置き換えて営業利益を計算し直すと、実質的な収益力が見えてきます。役員報酬を厚く取っている事務所ほど、適正化後の利益は大きくなります。
「何年分」を決めるのは、承継のしやすさ
同じ営業利益でも、代表一人に依存した事務所と、複数の鑑定士が受注・署名している事務所では、買い手が支払える年数が変わります。承継できる公的評価があるか、依頼目的と顧客が分散しているか、評価書の品質リスクがないか。私たちが鑑定士の目で読み解くのは、まさにこの「年数を決める要素」です。
Factors
価格を上げる要素、下げる要素
財務諸表に出ない項目ほど、価格への影響が大きいのが鑑定会社の特徴です
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会社契約の公的評価
固定資産税評価など、法人として継続受託している業務。安定収益として評価されやすい要素です。
+
複数の有資格者
代表以外の鑑定士が受注・署名している事務所は、承継後も業務が回ると判断され、年数の倍率が上がります。
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分散した依頼目的
担保評価・相続・訴訟・公的評価と、依頼目的と顧客が分散しているほど、特定顧客の離脱リスクが低いと見られます。
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代表への依存
代表一人で受注・評価している場合、買い手は「代表がいなくなれば売上が消える」と考え、並走条件や価格で調整します。
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個人委嘱の公的評価
地価公示評価員のように個人に紐づく業務は、会社の価値に含められません。売上に占める割合が大きいほど注意が必要です。
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評価書の品質リスク
クレーム・訴訟の履歴、賠償責任保険の未加入、評価書の保存状況の不備は、買い手の調査で減額要因になります。
「相場」を鵜呑みにしないでください
鑑定会社のM&Aは件数が少なく、公開された取引事例もほとんどありません。「鑑定事務所の相場は営業利益の2年分」のような数字は、あくまで一般的な士業事務所の目安の援用にすぎません。実際の譲渡価額は、買い手にとってのシナジー(拠点・有資格者・公的評価の枠)、並走の条件、支払い方法(一括か分割か、業績連動があるか)で大きく変わります。
私たちは、鑑定評価を本業とする者として、価格の根拠を曖昧にしたまま話を進めることはしません。承継できる資産と、できない要素を仕分けし、レンジで目安をお伝えしたうえで、買い手との交渉に臨みます。
Confidential Consultation
シミュレーターの先は、鑑定士との対話で
決算書を拝見しながら、承継できる資産と価格の考え方を整理します。相談無料・秘密厳守。売る・売らないを決める前で構いません。
受付: 平日 9:00〜18:00(メール・フォームは24時間)