M&Aの無料相談では何を聞かれるのか?初回30〜60分の流れと、手元にあると話が早い5つの資料
鑑定会社・鑑定事務所のM&A無料相談で、何を聞かれ、何を用意すればよいかを整理します。初回相談(30〜60分)の流れ、直近3期の決算書・依頼目的別の受注一覧・公的評価の受託一覧・鑑定士と職員の一覧・事務所の賃貸借契約という5つの資料、会社名を伏せて相談する方法、相談後に営業されない約束まで、相談前の不安を解消します。
「相談したら売却を迫られるのではないか」「何を準備すればよいのか分からない」「まだ売ると決めていないのに相談してよいのか」。無料相談に踏み出せない理由は、費用ではなく、この不安であることが多いです。
私たちは鑑定士として、依頼者が「何を持ってくればよいか」「何を聞かれるか」を事前に知っていると、初回面談の質が上がることを日々の鑑定業務で知っています。M&Aの相談もまったく同じです。この記事では、当社の無料相談で実際に何をお聞きし、何があれば話が早いかを、相談前の方に向けて正直にお伝えします。
初回相談の流れ(30〜60分)
前半:現状と希望を整理する(20〜30分)
初回相談は、売却を決めた方のためのものではありません。「引退の時期を考え始めた」「後継者がいないので選択肢を知りたい」という段階で十分です。前半では、次のようなことを順にお聞きします。
- 事務所の概要:所在地(都道府県レベルで結構です)、法人か個人か、鑑定士と職員の人数
- 業務の構成:公的評価と民間案件の比率、民間案件の主な依頼目的(担保評価、相続、訴訟、証券化など)
- 代表の状況:年齢、引退したい時期、引退後も並走できるか、並走できる期間
- 希望する出口:完全に手放したいのか、一部を残したいのか、職員の雇用をどうしたいか
- 現時点での不安:価格、秘密保持、職員の反応、公的評価の扱いなど
ここで大切なのは、「まだ決めていない」と正直に言っていただくことです。決めていない方に売却を勧めることはしません。廃業を含めた選択肢を並べ、比較する材料をお渡しすることが前半の目的です。廃業と売却の比較は「廃業と売却、どちらが得か」で事前にご覧いただけます。
後半:選択肢と目安をお示しする(10〜30分)
後半では、お聞きした内容をもとに次の3点をお伝えします。
- 考えられる出口の選択肢:廃業、親族・従業員承継、第三者承継のうち、現状で現実的なものと、それぞれに必要な期間
- 価格の目安のレンジ:年買法(純資産に営業利益の1〜3年分を加えて見積もる方法)を出発点に、公的評価の承継可否や属人性の程度で幅を持たせたレンジ。あくまで目安であり、確定的な評価額ではありません
- 想定される買い手の類型:同業の鑑定会社、独立希望の鑑定士、不動産会社・士業法人など、どの層が候補になり得るか
補足
相談時によく聞かれる質問
相談される方からよく受ける質問と、その場でお答えできる内容を挙げておきます。
- 「うちのような小さな事務所でも買い手はいるのか」→ 規模より、公的評価と顧客の引継ぎ可能性が問われます。売上1,000万円台の個人事務所でも候補は考えられます
- 「職員に知られずに進められるか」→ 進められます。後述のとおり、会社名を伏せた状態で買い手候補を探します
- 「手数料はいくらか」→ 完全成功報酬で、譲渡価額2,000万円以下は一律150万円(税別)です。詳細は「手数料」に公開しています
- 「成約までどのくらいかかるか」→ 半年〜1年半が目安で、公的評価の年度サイクルに合わせることが多いです
手元にあると話が早い5つの資料
5つの資料と「なぜ必要か」
以下の資料があると、初回から具体的な話ができます。すべてそろっていなくても構いません。
| 資料 | あると分かること | なくても代わりになるもの |
|---|---|---|
| 直近3期の決算書(法人)または確定申告書(個人) | 売上・営業利益・役員報酬の推移、純資産 | 売上と利益の概数 |
| 依頼目的別の受注一覧(直近1〜2年) | 担保評価・相続・訴訟などの構成、依頼者の分散度 | 主な依頼者と件数の概数 |
| 公的評価の受託一覧 | 地価公示の地点数、固定資産税評価の自治体、競売評価の有無 | 口頭での説明 |
| 鑑定士・職員の一覧(年齢・役割・勤続年数) | 専任鑑定士の要件充足、承継後の人員体制 | 人数と年齢層 |
| 事務所の賃貸借契約書 | 契約期間、解約予告期間、原状回復条件 | 家賃と契約更新時期 |
決算書は価格の目安を出す出発点です。士業事務所では役員報酬の水準が営業利益を大きく左右するため、役員報酬を正常な水準に置き直した「実質的な利益」で見ます。この調整は決算書がないとできません。
依頼目的別の受注一覧は、買い手が最も知りたい「どの顧客が引き継げそうか」を判断する材料です。特定の金融機関1社に売上の6割を依存している事務所と、20社に分散している事務所では、買い手の見方が変わります。
公的評価の受託一覧は、地方の事務所ほど重要です。地価公示評価員は個人への委嘱、固定資産税評価は自治体との契約と、承継の仕組みが異なるため、種類ごとに整理されていると引継ぎの設計が速くなります。
鑑定士・職員の一覧は、専任の不動産鑑定士を事務所ごとに置く要件(第35条)を承継後も満たせるかを確認するために使います。
賃貸借契約書は、株式譲渡なら契約が自動的に続く一方、事業譲渡では家主の承諾が必要になることがあるため、早めに確認しておきたい資料です。
資料がなくても相談はできる
「決算書を持ち出すのは気が引ける」という方も多いです。初回は概数だけで結構ですし、資料は2回目以降、秘密保持契約を結んだうえでお預かりする形でも問題ありません。むしろ、初回に資料をすべて出す必要はないとお伝えしています。
会社名を伏せて相談する方法
匿名で相談できる範囲
狭い鑑定業界では、「あの事務所が売却を考えている」という情報が漏れるだけで、職員や顧客が動揺します。当社への相談は、次の形で進められます。
- 問い合わせ段階:会社名・氏名を伏せ、都道府県と規模の概数だけでお問い合わせいただけます
- 初回相談:面談・オンラインいずれでも、会社名を明かさず相談できます。当社側からお聞きするのは業務の構成や引退時期など、事務所を特定しない範囲です
- 買い手候補への打診:ノンネームシート(会社名を伏せ、地域・規模・業務構成だけを記載した概要書)で打診し、関心を示した候補と秘密保持契約を結んだ後にはじめて名前を開示します
つまり、「売却を検討している」という事実を知る人を、あなたが決めた範囲に限定できます。当社自身も、相談の事実を第三者に開示しません。情報管理の実務は「売却を誰にも知られずに進められるか」で詳しく整理しています。
相談者側で気をつけたいこと
相談を進める際、相談者側で漏えいの原因になりやすいのは、事務所のメールアドレスや職員が見る予定表の使用です。連絡には個人の連絡先を使い、面談は事務所外で行うことをお勧めしています。
相談後に営業されない約束
当社のスタンス
無料相談を躊躇する最大の理由は「相談したら断りづらくなる」という不安です。当社は次のことをお約束します。
- 相談後に、こちらから売却を勧める連絡は行いません。次に動くかどうかは、あなたが決めてご連絡ください
- 相談の内容を、買い手候補を含む第三者に開示しません
- 仲介契約の前に、手数料の算定基準・料率・売り手と買い手の双方から手数料を受領する仲介であること・担当者の資格を書面でご説明します
3点目は、中小企業庁「中小M&Aガイドライン(第3版、令和6年8月)」が仲介者に求める事項でもあります。同ガイドラインは、仲介者・FAが契約前に手数料の算定基準・料率表・最低手数料・相手方からの手数料受領の有無・担当者の資格や実績等を書面で説明すること、利益相反の類型を明示することを求めています。契約前に確認すべき点は「中小M&Aガイドラインで読む仲介契約前に確認すべき8項目」にまとめています。
ご確認ください
まとめ
- 初回相談は30〜60分。前半で現状と希望を整理し、後半で出口の選択肢・価格の目安・買い手の類型をお伝えします
- 手元にあると話が早いのは、直近3期の決算書、依頼目的別の受注一覧、公的評価の受託一覧、鑑定士・職員の一覧、事務所の賃貸借契約書の5点。なくても相談できます
- 会社名を伏せた状態で相談・買い手打診まで進められます
- 相談後に当社から売却を勧める連絡はしません。手数料は仲介契約前に書面で説明します
「まだ決めていない」段階こそ、相談の適期です。M&Aの全体像は「鑑定会社M&Aの完全ガイド」、手続の流れは「M&Aの流れ」でご確認のうえ、ぜひ一度ご相談ください。初回の無料相談も承っております。無料相談はこちら
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執筆者
吉田 健人代表取締役社長・不動産鑑定士
外資IT企業で法人営業に従事するかたわら、不動産鑑定士として株式会社KRE Appraisalを設立。鑑定実務と外資ITの営業・M&A支援の経験を活かし、不動産鑑定会社のM&A・事業承継を支援している。
不動産鑑定士/宅地建物取引士/賃貸不動産経営管理士
鑑定会社の売却・買収・承継を、同業の鑑定士に相談する
相談無料・完全成功報酬・秘密厳守。会社名を伏せたままでも構いません。
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